皇族の安定継承を巡る奇妙な誤解の1つ。
男系派と女系派が激突している…という錯覚。
しかし、「女系派」なんてどこにもいないだろう。
男系派というのは、皇位の継承において血統を男系に「限定」するか、
男系を「優先」するか、どちらかの考え方。だったら、女系派は女系限定、又は女系優先という考え方でなければ、
男系派の主張とうまく対応しないはずだ。
しかし、女系限定は勿論、女系優先という意見を唱える論者が、
どこかにいるだろうか。寡聞にして私は知らない(「直系」優先という考え方はある)。
男系にしろ、女系にしろ、“単独”の系統だけに限定していては、
側室が不在となり、「非嫡出」の継承が否認された以上、
皇位の継承は行き詰まる他ない。そのような現実への、シビアな認識をしっかり前提に据えているか、
それとも、その冷厳な現実から目を背けて、ひたすら妄想の中に
逃げ込もうとしているか。
その対立があるだけだ。元内閣官房副長官だった古川貞二郎氏へのインタビューで、
産経新聞の記者がこんな質問をしていた(4月16日付)。「象徴天皇制が維持できるのであれば、必ずしも女性・女系天皇には
こだわらないのか」と。コーヒーを飲んでいたら吹き出すところだ。
何と愚かな質問か。「象徴天皇」の維持・継承の為でもないのに、やみくもに
「女性天皇・女系天皇にこだわ」る人間が、一体どこにいるのか。
上記の現実認識に立てば、いつまでも明治以来の「男系男子」限定に
拘泥していると、皇位継承それ自体が危うくなるのは、明らか。だから、それを普通に見直そうとしているに過ぎない。
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